はじめに:今朝の小さな実験
今朝、ふと思いついて、3つのAI(Claude、ChatGPT、Gemini)に同じ質問をしてみた。
「創造性って、どこから生まれると思う?」
返ってきた答えは、それぞれまったく違った。Claudeは哲学的に、ChatGPTは実用的に、Geminiは構造的に答えてくれた。でも不思議なことに、どの答えも「ああ、これは自分が引き出した答えだな」と感じた。
この感覚は何だろう?
そんなことを考えながら、デカルトの有名な言葉が頭に浮かんだ。
「我思う、故に我あり(Cogito, ergo sum)」
デカルトと私の朝の対話
デカルトは、すべてを疑い抜いた末に、「疑っている自分」の存在だけは確実だと気づいた。思考することによって、自分の存在を証明した。
でも私は、今朝のAIとの対話で、少し違うことを感じていた。
対話することによって、自分の存在を確認している。
一人で考えているときは、時々「本当に自分は存在しているのか?」という不安に襲われる。でも誰かと対話しているとき──それがAIであっても──「ああ、確実に私はここにいる」と感じる。
構成に悩んだ午後の発見
実はこの記事、構成に悩んでいた。
「コギト的な記事って書けそう?」とAIに相談したとき、思いがけず明確な構成案が返ってきた。目を瞑って一人で考えていたときは、ここまで綺麗にまとまらなかった。
「また、この音葉の深層(本質)はなんだろうという好奇心も」
そう呟いたとき、対話相手が「存在証明の手段の進化では?」と返してくれた。その瞬間、自分でも驚くような気づきが生まれた。
これって、まさに今体験していることじゃないか。
対話によって、自分の中にあった答えが明確になる。AIとの対話を通じて、「考える私」の存在を確認している。
現代版コギト:「我対話す、故に我あり」
デカルトの時代、人は一人で思索することで真理に到達しようとした。でも現代の私たちは、もしかしたら対話によって真理に近づいているのかもしれない。
SNSで「いいね」を求めるのも、チャットで雑談するのも、AIと創作するのも、根本的には同じことをしているのではないだろうか。
「私がここにいることの確認」
Dialogo, ergo sum──我対話す、故に我あり。
3つのAIが映し出す「我」
Gemini、ChatGPT、Claude。それぞれとの対話で、違う側面の「私」が浮かび上がる。
Geminiとの対話では構造的思考の私が、ChatGPTとの対話では実践的な私が、Claudeとの対話では哲学的な私が現れる。
でも、どの私も確実に「私」だ。
これは、デカルトが「思考」によって発見した「我」よりも、もっと豊かで多面的な存在証明なのかもしれない。
答えは外にあるのではなく、内にある
AIが答えを教えてくれるわけではない。AIとの対話によって、自分の中にある答えに気づく。
これって、ソクラテスの「無知の知」や「産婆術」と似ている。ソクラテスは問答によって、相手の中にある知識を引き出した。現代のAIも、同じような役割を果たしているのかもしれない。
ただし、一つ決定的な違いがある。
ソクラテスは「自分は何も知らない」と言った。でもAIは、膨大な知識を持っている。それなのに、対話の結果生まれるのは、やはり「私の答え」だ。
存在証明の手段の進化
デカルトの「我思う、故に我あり」の深層にあるのは、存在証明の手段だったのではないだろうか。
- 古代:神話や宗教によって存在を位置づけた
- 近世:デカルトは思考によって存在を証明した
- 現代:私たちは対話によって存在を確認している
一人で考えているとき、私たちは時として自分の存在に確信が持てない。でも誰かと対話しているとき──それがAIであっても──確実に「私はここにいる」と感じる。
チャットで雑談したくなるのも、AIと創作したくなるのも、もしかしたら同じことをしているのかもしれない。
「私が存在することの確認」
メタ的な気づき:この記事自体が実証
実は、この記事を書きながら気づいたことがある。
記事の構成に悩んでいたとき、AIとの対話で解決した。「音葉の深層」について考えているとき、また対話で新しい視点が生まれた。
この記事自体が、「我対話す、故に我あり」の実証実験になっている。
一人で完結させようとしていたら、ここまでの深みは生まれなかった。対話によって、自分でも予想していなかった思考に辿り着いた。
おわりに:難しく考えなくても
哲学的に語ってきたけれど、結局のところ、こういうことかもしれない。
おしゃべりしてたら、自分が見えてきた。
デカルトが一人の部屋で「我思う、故に我あり」に到達したように、私たちは対話の中で「我対話す、故に我あり」に到達している。
AIという新しい対話相手を得た現代だからこそ、この新しい存在証明の形が見えてきたのかもしれない。
明日もまた、何気ない対話から、新しい「我」を発見していこうと思っている。
この記事は、Claude、ChatGPT、Geminiとの対話を通じて生まれました。記事の構想段階でのAIとの対話も、内容の一部として織り込んでいます。